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住宅ローン

【必読】住宅ローンを完済したら終わりじゃない? 売却で忘れがちな「抵当権抹消」

住宅ローンを完済すると、ようやく一息つけたように感じるものです。しかしその裏で、多くの方が見落としやすい大切な手続きがあります。
それが、法務局で行う 「抵当権(ていとうけん)抹消登記」 です。

「ローンを返したのだから、自然に消えるはず」と思われがちですが、抵当権は 完済しても自動では消えません。
登記簿上には、ローン返済前と同じように“担保の痕跡”が残ったままです。

放置してもすぐに困るわけではないものの、書類の紛失や再発行手続きの必要など、後から余計な手間や費用がかかる原因 になることも少なくありません。

また、売却予定がある場合は、抵当権が残った状態だと買主側の手続きや印象にも影響する可能性があります。

抵当権抹消は、登記の中でも比較的シンプルで、費用を抑えてご自身で完了できる手続き です。

この記事では、

  • なぜ抵当権抹消が忘れがちなのか
  • 放置すると何が起こるのか
  • 必要書類と手続きの流れ
  • 売却前にスムーズに進めるポイント

を、うるラボが分かりやすく解説します。

「忘れてた…!」と後悔しないように、まずはこの導入部分からチェックしていきましょう。

なぜ「抵当権抹消」は忘れがちなのか?

① 誰も教えてくれない登記の現実

抵当権とは、ローンを組んだ際に金融機関があなたの不動産を担保にするために、法務局の「登記簿(登記事項証明書)」に設定した記録です。

多くの方が勘違いしがちですが、住宅ローンを完済しても、登記簿上のこの記録は銀行や法務局が自動で消してくれるわけではありません。なぜなら、この手続きは「所有者であるあなた自身」が行うとされているからです。

金融機関から送られてくるのは、「抵当権を抹消していいですよ」という手続きに必要な書類一式のみ。この書類が手元に届いた時点で、金融機関の役割は終わり、手続きは所有者へ委ねられ、多くの人はそのまま書類を保管し、「忘れてしまう」状態になります。

② 放置すると売却時にどんな問題が起きる?

抵当権の抹消を忘れていても、すぐに売却できなくなるわけではありません。実際の売却では、ローンを完済したタイミングで司法書士が抹消登記を行うのが通常です。

ただ、完済後に長く放置していると、以下のようなリスクが高まります。

  • 重要書類の紛失: 抹消に必要な書類を失くしてしまうリスク。再発行が困難な書類も含まれます。
  • 手間と費用の増加: 銀行の合併や商号変更などで、書類の再発行や追加書類が必要になり、手間と費用が増加する。
  • 買主への不安: 登記簿がクリーンでないことで、買主様が心理的な不安を感じる。

手間を増やさないためにも、「完済したら登記を確認して抹消する」ことを強くおすすめします。

【重要】売却を検討し始めたら、「ローン完済済み=手続き完了ではない」ことを思い出し、すぐに登記簿を確認しましょう!

自分でできる!抵当権抹消登記の具体的な手順

「売却よりも前に、自己資金でローンを完済した方」は、費用を抑えてご自身で手続きが可能です。費用は基本的に登録免許税(不動産1件につき1,000円)のみで済みます。

① 金融機関から書類を受け取る(必須4点セットの確認と注意点)

ローンを完済すると、金融機関から以下の抵当権抹消に必要な書類一式が郵送で届きます。これらを失くさないよう、厳重に保管してください。

書類名 役割と注意点
登記原因証明情報(弁済証書・解除証書など) 抵当権が消滅したこと(ローン完済)を証明する書類。
金融機関からの委任状 抵当権設定時に作成された契約書原本。この書類に「登記済証」の印が押されています。
金融機関からの委任状 銀行があなたに手続きを委任したことを示す書類。
(場合により)抵当権抹消登記申請書 自分で用意することもありますが、銀行が作成してくれる場合もあります。

【重要】所有者の権利証(登記識別情報)について
ご自身の「所有権の登記識別情報通知書(権利証)」は、この抵当権抹消手続きでは原則として使用しません。抵当権抹消に必要なのは、あくまで抵当権が設定された際の関連書類です。ご自身の権利証を間違えて提出しないようご注意ください。

② 登記申請書を作成する

法務局のホームページから「抵当権抹消登記申請書」のひな形と記載例をダウンロードし、必要事項を記入します。

記入のポイント

  • 登記の目的: 抵当権抹消
  • 原因: ローンを完済した日付と「弁済」
  • 不動産の表示: 登記事項証明書の通り、正確に記載します。
  • 登録免許税: 不動産1つ(土地1筆、建物1棟)につき1,000円。土地と建物の場合は合計2,000円となります。
  • 会社法人等番号の記載: 申請書には、金融機関の「会社法人等番号」を忘れずに記載してください。この番号を記載することで、資格証明書の添付が省略できます。(金融機関から送られてきた書類に記載があります)

作成した申請書は、提出前に管轄の法務局の「登記相談コーナー」(事前予約制)でチェックしてもらいましょう。無料で専門家に見てもらえるため、不備による差し戻しを防げます。

③ 管轄の法務局へ申請・提出する

作成した「登記申請書」と「ステップ①で受け取った書類一式」を、不動産所在地を管轄する法務局に提出します。

  • 提出方法: 平日の開庁時間内に窓口へ持参するか、郵送(書留推奨)で提出します。
  • 収入印紙: 申請書とは別のA4用紙に、登録免許税分の収入印紙を貼り付けます(印鑑で消印はしない)。
  • 返信用封筒: 登記完了書類を郵送で受け取りたい場合は、切手を貼った返信用封筒を同封しておきましょう。

④ 登記完了書類を受け取り、確認する

申請後、1〜2週間程度で手続きが完了します。法務局から返却された書類の中に、新しい「登記事項証明書」が入っているか確認してください。

  • 新しい登記事項証明書を開き、「乙区(おつく)」という欄を確認します。
  • この乙区に、以前あった抵当権に関する記載がすべてなくなっていれば、手続きは完了です!

売却直前なら、司法書士に依頼すべきケース

自分でできる抵当権抹消ですが、以下のような場合は、費用がかかっても司法書士に依頼すべきです。

① 売却代金でローンを完済する場合

売却(決済)と同時に抹消登記を行うため、お金の移動、鍵の引き渡し、登記手続きのすべてを同日・同場所で正確に行う必要があり、司法書士の立ち会いが必須となります。

② 登記簿の住所・氏名が現在と異なる場合

引越しや結婚などで、登記簿上の住所・氏名に変更がある場合は、抵当権抹消の前に「住所(氏名)変更登記」が必要です。手続きが複雑になるため、専門家に依頼するのが得策です。

③ 手続きの不備で遅延するリスクを避けたい場合

書類の作成ミスや法務局からの補正対応などで、手続きの不備で売却スケジュールが遅延するリスクを避けたい場合は、最初から司法書士に依頼しましょう。専門家なら確実に、最短で手続きを完了できます。

まとめ:「忘れてた!」を防ぐためのアクション

抵当権抹消登記は、住宅ローンを完済した方が、その不動産を完全に「自分のもの」として、次の一歩を踏み出すために欠かせない手続きです。

「クリーンな登記簿」こそが、スムーズで高値売却への一番の近道です。

【今すぐやることリスト】

  • ローン完済時の書類を確認する: 金融機関から送られてきた「必須4点セット」を紛失していないか確認する。
  • 法務局へ相談予約をする: 不安があれば、まずは管轄の法務局の「登記相談コーナー」に予約をし、必要書類を持って行く。
  • 早めに手続きを完了させる: 「そのうちでいいや」を避け、売却の検討を始めたらすぐに手続きを完了させる。

次のステップへ
抵当権抹消登記が終わったら、いよいよ売却の準備段階。まずは、ご自身の不動産が今どれくらいの価格で売れるのか「今の価格を知る」ことから始めましょう。

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