不動産売却を検討されている皆様、そして大切な資産の行方に頭を悩ませている相続人・ご夫妻の皆様。
不動産は、単独で所有しているときでさえ、その出口戦略(売却)には専門的な知識を要します。それが「共有名義」となった瞬間、難易度は跳ね上がります。共有名義の不動産売却が「地獄の沙汰」と揶揄されることもあるのは、単に手続きが煩雑だからではなく、「名義人の数だけ正解があるから」に他なりません。
本コラムでは、不動産売却専門のプロとしての視点から、相続登記の注意点や「換価分割」「代償分割」といった具体的な解決策、そして離婚時の共有解消法まで、皆様のリテラシーを劇的に引き上げるためのノウハウを徹底解説します。
目次

結論から申し上げます。法律上のルールが「全員一致」を求めているからです。
不動産の共有状態において、名義人ができることは法律(民法)で厳格に定められています。
つまり、3人の兄弟で相続した場合、2人が「売りたい」と言っても、たった1人が「思い出があるから売りたくない」と反対すれば、不動産全体を売ることは法的に不可能です。この「たった一人の反対」が、不動産を「塩漬け資産」「負動産」に変えてしまうのです。

相続が発生した際、「とりあえず法定相続分で共有名義にしておこう」という選択は、最も避けるべき選択肢の一つです。
すでにご存知の方も多いかと思いますが、相続登記は義務化されました。正当な理由なく放置すると過料の対象となります。しかし、「義務だから急いで登記しなきゃ」と焦って共有名義にするのは禁物です。
共有名義のまま放置し、さらにその共有者が亡くなると、その持分が次の相続人に引き継がれます(代襲相続)。これを繰り返すと、数年後には「顔も知らない親戚20人と共有」という事態になり、事実上、誰の手にも負えない物件が誕生します。

共有状態を回避、または解消するためにプロが提案するのが、以下の手法です。
土地を分筆(切り分ける)して、それぞれ単独所有にする方法です。広大な土地で、接道基準などの問題がなければ有効ですが、狭小地や建物(マンション・一戸建て)では不可能です。
不動産そのものを売却し、その代金から諸経費を差し引いた残りを、持分に応じて分配する方法です。
特定の相続人(例えば長男)が不動産を単独で相続する代わりに、他の相続人に対して、その持分に見合う「代償金」を自分のポケットマネーから支払う方法です。

離婚時にご夫妻が共有名義(または連帯債務・ペアローン)で住宅を所有している場合、問題はさらに深刻です。
離婚後、数年経って「やっぱり家を売りたい」と思った際、元配偶者と連絡が取れない、あるいは嫌がらせで拒否されるケースが多々あります。 プロのアドバイス: 離婚協議の段階で、「売却し換価分割するのか」「どちらかが持分を買い取って単独名義にするのか」を公正証書で確定させておくべきです。
売却価格よりもローン残高の方が多い場合、銀行の承諾なしには売却(抵当権抹消)ができません。この場合、不足分を現金で補填するか、「任意売却」という特殊な手法を検討することになります。

もし今、共有名義で揉めている、あるいは進め方が分からない場合は、以下のステップで進めてください。

共有名義の不動産売却において、最大の敵は「沈黙」と「放置」です。時間が経てば経つほど権利は複雑化し、建物の価値は下がります。
「兄弟で意見が合わない」「元パートナーと話したくない」といった場合こそ、私たちのような第三者の不動産エージェントを介入させてください。中立的な立場でデータに基づいたアドバイスをすることで、感情的な対立を「経済的な合理性」へと着地させることが可能です。

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