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「査定額」と「手取り額」は違います。不動産売却で発生する費用を、項目別に全て書き出しました!

不動産を売却するとき、多くの方が「査定額がそのまま手元に入る」とイメージしています。

3,000万円で売れたら、3,000万円が振り込まれる。 そう思って住み替え先の予算を組んでいませんか?

少し厳しい話をします。実際には、3,000万円の売却で手元に残るのは半分以下になることも珍しくありません。

仲介手数料、印紙税、抵当権抹消、譲渡所得税、解体費、測量費、クリーニング、住宅ローン残債──。 ひとつひとつは「聞いたことがある」費用でも、全部足したらいくらになるのかを売却前に把握している方は、意外なほど少ないのが実情です。

2026年4月、大手5行の変動金利平均が15年ぶりに1%を超えました。買える人の数が静かに減り始めている今、「値下げを迫られながら、費用も払う」という二重の負担が、これから売主にのしかかる可能性があります。

だからこそ、売却前に「何にいくらかかるか」を正確に把握しておくことが、損をしないための第一歩です。

このコラムでは、不動産売却で発生する費用を、項目ごとに金額の目安まで踏み込んで整理します。

【この記事でわかること】

  • 不動産売却で発生する費用の全項目(漏れなく)
  • それぞれの費用が「いくらかかるのか」の具体的な金額
  • 知らないと数百万円損する「譲渡所得税」と5年の壁
  • 査定額3,000万円のマンションで、最終的に手元に残るのはいくらか
  • 売却前にやるべき「手取りシミュレーション」の手順

【Part 1】まず押さえるべき「仲介手数料」

不動産売却で最も金額が大きく、最も負担に感じる費用が仲介手数料です。理由は単純で、売却価格に比例して金額が膨らむからです。

速算式と、3,000万円で売った場合の手数料

宅建業法で定められた仲介手数料の上限は、次の通りです(売買金額が400万円超の場合の速算式)。

仲介手数料の上限 = 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税

具体的に計算してみましょう。

売却価格仲介手数料(税込・上限額)
1,000万円39万6,000円
3,000万円105万6,000円
5,000万円171万6,000円
7,000万円237万6,000円
1億円336万6,000円

3,000万円のマンションを売っただけで、100万円超が仲介手数料として消えます。支払いは、契約時に半額、引き渡し時に半額が一般的です。

うるラボより:仲介手数料は「上限」が法律で決まっているだけなので、必ずしも上限額を払う必要はありません。最近は「半額」「無料」を謳う会社も増えています。ただし、安さだけで選ぶと売却活動の質(広告の出し方、内見対応、価格交渉力)が下がるケースもあります。サービス内容と費用のバランスで判断してください。

半額・無料を謳う会社をどう見るか

「仲介手数料無料」と聞くと魅力的に響きますが、売主から手数料を取らない代わりに買主から取る、あるいは売主の物件を自社で買い取って転売する、というビジネスモデルになっているケースがあります。

前者は問題ありませんが、後者の場合は「仲介と思っていたら実は買取で、相場より安く売っていた」という事態が起こり得ます。手数料の節約より、売却価格自体が下がる方がダメージは大きい。「無料」「半額」の理由を必ず確認してから契約してください。

【Part 2】税金は「あとから来る」から見落とされる

仲介手数料は契約時に意識せざるを得ないので、忘れることはまずありません。一方で、税金は「売ってから請求が来る」ので後回しになりがちです。手元のお金を使い切ってから請求が来ると、本当に困ります。

①印紙税

不動産売買契約書には収入印紙を貼ります。金額は契約書に記載される売買金額で決まります(軽減措置適用時/2027年3月31日まで)。

売買金額印紙税額
500万円超〜1,000万円以下5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下1万円
5,000万円超〜1億円以下3万円
1億円超〜5億円以下6万円

数万円単位なので「些末」と思われがちですが、契約日に現物(収入印紙)が必要なので、忘れると慌てます。

ちなみに、電子契約を利用すれば印紙税はかかりません。 印紙税法が課税対象としているのは紙の「文書」だけで、電子データでやり取りされる契約書は課税文書に該当しないためです(国税庁の見解)。最近は不動産業界でも電子契約に対応する会社が増えており、売主・買主の双方がパソコンやスマホで電子署名を行う方式が広がっています。

3,000万円の売買なら、それだけで1万円の節約になります。仲介会社が電子契約に対応しているかどうかは、事前に確認しておくと良いでしょう。

うるラボより:「たった1万円」と思うかもしれませんが、契約から引き渡しまでには細かい出費が積み重なります。電子契約なら印紙代がゼロになるだけでなく、契約のために集まる手間も省けます。対応している会社を選ぶメリットは小さくありません。

②譲渡所得税──5年の壁を知らないと損をする

ここが最も「知らないと損をする」費用です。

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税・住民税がかかります。問題は、所有期間によって税率が約2倍違うことです。

所有期間(売却年の1月1日時点)区分税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
5年以下短期譲渡所得39.63%
5年超長期譲渡所得20.315%

たとえば譲渡所得が1,000万円出た場合、

  • 所有5年以下で売却 → 約396万円の税金
  • 所有5年超で売却 → 約203万円の税金

売却タイミング次第で、約190万円の差が生まれます。

ここで注意点が一つ。「所有期間」は売却した年の1月1日時点で判定されます。実際の所有日数で4年と11ヶ月でも「短期」扱いになるケースがあります。「ちょうど5年経ったから売ろう」という感覚的な判断は危険です。

③3,000万円特別控除という「救済策」

「自分が住んでいた家(マイホーム)」を売る場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除があります。

つまり、譲渡所得が3,000万円以下なら、譲渡所得税は実質ゼロになる可能性があります。これはマイホーム売却の大きな救済策ですが、確定申告が必須です。「税金がゼロだから何もしなくていい」ではなく、申告して初めて適用される、という点を忘れないでください。

なお、相続した不動産や、賃貸に出していた物件は適用条件が変わります。「自分のケースで使えるか」は、必ず税務署か税理士に確認してください。

うるラボより:譲渡所得税は「売って数ヶ月後の確定申告で初めて請求される」ので、手元のお金を使い切ってから請求が来て慌てる方がいます。売却前に「税金がいくらかかるのか」を把握し、その分のお金は手をつけずに残しておく。これが鉄則です。

【Part 3】物件によっては避けられない「その他費用」

物件の状態によっては、上記に加えて以下の費用が発生します。「うちは戸建てだから」「相続物件だから」という方は、特に確認してください。

抵当権抹消費用

住宅ローンが残っている物件を売る場合、ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。

内訳金額の目安
登録免許税不動産1個につき1,000円(土地と建物で2,000円)
司法書士報酬1〜2万円程度
住宅ローン繰上返済の事務手数料0円〜33,000円程度(金融機関による)

合計で2万円〜5万円程度が一般的です。金額自体は大きくありませんが、抵当権が残ったままでは引き渡しができないので、必ず発生する費用です。

解体費用

古家付き土地を「更地」にして売る場合に発生します。

構造解体費用の目安(坪単価)
木造3〜5万円/坪
軽量鉄骨造4〜6万円/坪
RC造(鉄筋コンクリート)6〜8万円/坪

30坪の木造住宅なら100万〜150万円。これに加えて、廃材処分費・整地費・アスベスト調査費などが上乗せされるケースもあります。

ここで重要な判断ポイントがあります。「古家付きのまま売る」「更地にして売る」で売却戦略がまったく変わります。

更地にすれば見栄えはよくなり、土地として売りやすくなる一方、固定資産税の住宅用地特例が外れて税金が跳ね上がる、買い手が「自分で建てたい間取りに合わない」と離れる、というデメリットもあります。

解体してから売れ残る、というのが最悪のパターンです。100万円超の費用をかけたのに買い手がつかず、固定資産税だけ毎年払い続けることになりかねません。解体は仲介会社と十分相談してから判断してください。

測量費用

土地の境界が確定していない場合、確定測量が必要になることがあります。

種類費用の目安
現況測量10〜30万円
確定測量(隣地立会いあり)30〜80万円
確定測量+官民境界確定60〜100万円超

特に都市部の古い土地は、隣地との境界が曖昧なケースが多く、買主側から「確定測量を済ませてから引き渡してほしい」と要求されることがあります。

確定測量には隣地所有者の立会いと同意が必要で、所要期間も1〜3ヶ月かかります。「売却を急いでいる」場合に、ここがボトルネックになることもあります。

ハウスクリーニング・残置物処分・引越し費用

居住中の物件を空にして引き渡す場合、以下の費用も発生します。

項目金額の目安
ハウスクリーニング5〜15万円(広さによる)
残置物処分(家具・家電など)10〜30万円
引越し費用10〜30万円(時期・距離による)

「自分で運べるから無料」と思っていても、いざ動き出すと回収業者に依頼することになり、想定外の出費になりがちです。特に親が住んでいた家を相続して売るケースでは、家財の処分だけで50万円以上かかることもあります。

うるラボより:練馬・板橋・和光エリアでは、築30〜40年の戸建てや、相続した古家のご相談が増えています。「解体してから売るべきか」「古家付きのまま売るべきか」「測量はどうするか」は物件によって答えが違います。先にお金を使ってしまうと取り返しがつかないので、判断は慎重にしてください。

【Part 4】査定額3,000万円のマンション、手元に残るのは結局いくら?

ここまでの内容をまとめて、シミュレーションしてみましょう。

前提条件

  • 中古マンション(所有8年・自宅)を3,000万円で売却
  • 購入時価格2,500万円、購入時諸費用150万円
  • 住宅ローン残債1,500万円
  • 3,000万円特別控除を適用
項目金額
売却価格+3,000万円
仲介手数料(税込)-105万6,000円
印紙税-1万円
抵当権抹消費用-3万円
住宅ローン一括返済-1,500万円
ハウスクリーニング-8万円
譲渡所得税(特別控除適用で0円)0円
手元に残る額(概算)約1,382万円

「3,000万円で売れた」のに、ローン返済と諸費用で約1,618万円が消える計算です。手元に残るのは半分以下。

これが戸建てで解体(150万円)や確定測量(50万円)が加わると、さらに200万円以上が消えます。

「査定額」ではなく「手取り額」で計算する。これが住み替え予算を組む上での鉄則です。

※上記は典型例であり、実際の金額は物件・税制・適用控除によって異なります。

【まとめ】「査定額」ではなく「手取り額」で計算するのが鉄則

整理すると、こういうことです。

費用区分主な内容金額の目安(3,000万円売却の場合)
①仲介手数料売却価格×3%+6万円+消費税約106万円
②税金印紙税、譲渡所得税1万円〜(譲渡益による)
③ローン関連抵当権抹消、繰上返済手数料2〜5万円
④物件関連解体、測量、クリーニング、残置物処分0円〜200万円超
⑤住宅ローン残債一括返済残債による

費用は項目が多く、しかも物件によって発生する/しないが分かれます。「全部足したらいくらになるのか」は、自分の物件に合わせて計算しないと見えてきません。

手取り額を知らずに売却を決めるのは、ゴールがどこか分からないまま走り出すようなものです。「思ったより残らなかった」と気づいたときには、もう契約済み。後戻りはできません。

今すぐやるべきこと

①査定は「売却価格」ではなく「手取り額」で確認する 査定額だけでなく、「諸費用を引いたら手元にいくら残るか」を必ず聞いてください。きちんとした仲介会社なら、概算でも答えてくれます。査定書に金額しか書かれていない会社は要注意です。

②税金は「売却前」に税務署か税理士に相談する 特に所有期間が5年前後の物件、相続した不動産、買った時より高く売れそうな物件は、売却タイミングと税金の関係を事前に確認してください。1日のずれで数十万円〜数百万円の差が出ます。

③解体・測量は「売る前」に決断しない 「とりあえず更地に」「とりあえず測量を」と先走ると、その費用を取り返せなくなります。仲介会社と相談してから判断してください。

④「売る・住む・貸す」の3つを比較する 売却が必ずしも最適解とは限りません。今後の維持費、貸した場合の収入、売却した場合の手取り──3つを並べて初めて「うちはこうしよう」と判断できます。

うるラボより:私たちは「売る・住む・貸す」の3つの選択肢を全部整理した上で、一緒に判断するスタイルでご相談をお受けしています。費用や税金の概算もその場でお伝えします。「うちの家、売ったらいくら残るのか」が気になった方は、まずお気軽にご相談ください。査定だけでも、相談だけでも大丈夫です。

参考・出典

  • 仲介手数料の上限規定|宅地建物取引業法第46条、国土交通省告示
  • 譲渡所得税の税率・3,000万円特別控除|国税庁タックスアンサー No.3208・No.3302・No.3305
  • 印紙税額(軽減措置)|国税庁タックスアンサー No.7108
  • 抵当権抹消の登録免許税|登録免許税法
  • 2026年4月 変動金利15年ぶりに1%超え|各金融機関発表
  • フラット35 4月金利 2.49%|住宅金融支援機構(2026年4月)

※本記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しています。税制や費用相場は改正・変動の可能性があるため、個別の判断については税理士・専門家にご相談ください。

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